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規制

韓国のステーブルコイン規制(2026年):国際貿易の決済をめぐる法制度の現状

韓国はウォン建てステーブルコインの制度づくりを進め、仮想資産の国境を越える移転の管理も強めています。韓国の仕入先が今USDTを受け取れるかと問う輸入企業への率直な答えは、「明確な法的経路はない。少なくとも現時点では」です。

Editorial Desk
執筆 · Stablecoin Trade Journal
文書番号
STJ-2026-0003
公開
最終確認
版
1.0
 
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英語原文からの翻訳 · 2026年10月16日 確認

要点

  • 2026年10月16日時点で、韓国にはウォン建てステーブルコインの発行を認める法律も、規制する法律もありません。デジタル資産基本法案は複数が審議待ちで、政府案はまだ提出されていません。
  • 2026年12月3日から、韓国と海外の間で暗号資産を移転する仮想資産事業者は、財政経済部への登録が必要になります。この義務を負うのは事業者で、輸入企業や輸出企業ではありません。
  • 改正外国為替取引法には、貿易代金をステーブルコインで決済することを認める規定はありません。韓国の弁護士や業界団体は、輸出企業がUSDTやUSDCを受け取ってウォンに換える明確な合法的経路は現状ないとしています。
  • ルールが変わるまでは、銀行経由で韓国の仕入先に支払うのが安全です。自社でステーブルコインを保有している場合も、自国の認可を受けた事業者を通じて先に換金してください。

自社の資金をステーブルコインで保有する輸入企業が増え、当然の疑問を口にする企業も出てきました。「韓国の仕入先に、そのままUSDCで支払えないのか」というものです。

韓国はその答えに向かって動いていますが、まだ答えは出ていません。本記事では、2026年10月16日時点で施行されている制度、2026年12月3日に変わる点、そしてまだ議論が続いている点を整理します。すべての記述は、一次資料か、名前を明示した韓国の法律分析に基づいています。

結論から

これは数か月のうちに変わる可能性があります。以下では、答えが「まだ」である理由と、注目すべき点を説明します。

3つの法律と、それぞれの役割

韓国の暗号資産のルールは複数の法律に分かれています。どの法律が何を定めているかを押さえると理解しやすくなります。

法律状況対象定めていないこと
仮想資産利用者保護法2024年7月19日から施行事業者による利用者の預り金と暗号資産の保管、相場操縦・インサイダー取引の禁止、金融委員会による監督5ステーブルコイン発行の規制
外国為替取引法(法律第21714号による改正後)2026年12月3日施行韓国の国境を越えて仮想資産を移転する事業者の登録1仮想資産による貿易決済の容認
デジタル資産基本法審議待ち(議員提出法案5件、政府案は未提出)ウォン建てステーブルコインを含む発行者のルールを定める見込み6現時点では何も定めていない(法律ではない)

すでに施行されている制度

発行ではなく投資家保護

仮想資産利用者保護法は2024年7月19日に施行されました。事業者に利用者の預り金と仮想資産の保護を義務づけ、当局に不公正取引の調査権限を与え、事業者を金融委員会の監督下に置いています。5 韓国では「第1段階」の立法と広く呼ばれ、ステーブルコインの発行は第2段階に持ち越されました。

取引所と、法人口座の空白

韓国の暗号資産取引所は実名の銀行口座を通じて運営しなければならず、企業は長らく取引所で売買できませんでした。2025年2月、金融委員会は段階的なロードマップを発表しました。まず非営利法人、大学、取引所自身に売却専用口座を認め、次に上場企業と専門投資家の約3,500社を対象に試行するという内容です。8

2026年10月時点で第2段階は実施されておらず、金融委員会はその時期をデジタル資産基本法と結びつけていました。7 そのため一般の輸出企業には、取引所口座を開設して受け取ったステーブルコインをウォンに換える一般的な方法がありません。

外国為替法上の問題

外国為替取引法上、仮想資産は認められた「支払手段」ではありません。外国為替銀行を通さずに貿易代金を決済するには韓国銀行への事前申告が必要ですが、規則に根拠がないため、実務上、暗号資産がからむ申告はほとんど受理されません。4

2026年9月の国会セミナーで、韓国フィンテック産業協会ステーブルコイン協議会の議長は、テザー(USDT)やUSDCを受け取る方法について輸出企業から頻繁に問い合わせがあるものの、現行のルールでは「方法がない」と述べました。9

2026年12月3日に変わること

改正外国為替取引法(法律第21714号)は2026年5月7日に可決され、2026年6月2日に公布され、2026年12月3日に施行されます。1

2024年7月利用者保護法施行2026年6月外為法改正公布2026年10月施行令改正案意見募集〜10/262026年11月デジタル資産法委員会審査2026年12月3日事業者の登録制開始2027年初めトラベルルール全移転が対象成立・施行済み見込み(未確定)
図 1. 国境を越える暗号資産・ステーブルコイン決済に関わる韓国のルールの年表。2026年10月16日より後の日付は予定または見込みで、確定ではありません。

改正の柱は、新たな登録義務です。

  • 韓国と他国の間で、売買・交換やそれと同じ効果を持つ行為によって仮想資産を移転する仮想資産事業者は、事前に財政経済部長官に登録しなければなりません。2
  • 登録するには、韓国の金融情報分析院(FIU)に仮想資産事業者として申告済みであること、韓国銀行の外国為替情報ネットワークに接続していること、施行令で定める設備・人員の要件を満たすことが必要です。2
  • 移転データは外国為替情報ネットワークに集約され、国税庁、関税庁、金融監督当局と共有されることがあります。2
  • 登録せずに営業することは刑事罰の対象です。2

これを具体化する施行令の改正案は、2026年10月7日から26日まで意見募集のため公表されました。改正案に関する報道によると、事業者間の移転だけでなく、韓国の事業者と海外の個人ウォレット(プライベートウォレット)の間の移転も対象に含めています。3 最終的な条文は異なる可能性があります。

改正で変わらないこと

この改正が定めるのは、誰が、どのような監督のもとで暗号資産を国境を越えて移転できるかです。貿易代金を仮想資産で支払ったり受け取ったりすることを認める規定は含まれていません。4 輸入企業は、12月3日を、韓国の仕入先へのステーブルコイン払いが合法になる日と受け取ってはいけません。

審議中の論点:ウォン建てステーブルコインをめぐる議論

ステーブルコインの発行者を規律するルールは、法案段階のデジタル資産基本法に盛り込まれる予定です。2026年10月中旬時点の状況は次のとおりです。

  • 議員提出法案5件が審議待ちで、政府案は9月の目標に間に合わず、提出されていませんでした。6
  • 10月8日の国政監査で、金融委員長は政府案の条文は準備済みで最終調整中だと述べました。7
  • 委員会審査は2026年11月の見込みとされていました。6

中心的な争点は、誰がウォン建てステーブルコインを発行できるかです。当局は銀行が過半を出資するコンソーシアム、いわゆる「51%ルール」を検討してきました。これに対しフィンテック企業や暗号資産企業は、資本・準備資産・償還の基準を満たす発行者なら誰でも認めるべきだと主張しています。金融委員会は、銀行過半出資モデルは確定していないとしています。6 韓国銀行は、外国為替管理と顧客確認を理由に、一貫して銀行主導の発行を支持してきました。

トラベルルール

これとは別に、韓国はFATFの「トラベルルール」を適用しています。仮想資産を送る韓国の事業者は、100万ウォン以上の移転について送付人と受取人の情報を伝達しなければなりません。2026年8月、この基準額を撤廃する改正が閣議で承認されました。施行後はすべての移転が対象となり、施行は2027年初めの見込みです。10

韓国の仕入先に支払う企業にとっての意味

  1. 当面は銀行経由で支払ってください。 自社がステーブルコインを保有していても、自国の認可を受けた事業者を通じて換金し、通常の銀行送金で送ってください。韓国の法律事務所も、反対側の輸出企業に同じ助言をしています。買い手か認可事業者に法定通貨へ換えてもらい、通常の銀行経由で送金してもらうように、というものです。4
  2. 抜け道には注意してください。 役員個人のウォレットや取引所口座に代金を送らせると、仕入先は外国為替法違反のおそれを抱えるうえ、韓国法上、横領や背任を問われる可能性もあります。9
  3. 3つの日程に注目してください。 施行令の最終版、2026年12月3日の事業者登録制の開始、そして11月のデジタル資産基本法の審査結果です。トップページの規制トラッカーで、それぞれの動きを追っています。

よくある質問

韓国にステーブルコインの法律はありますか。

まだありません。2026年10月16日時点で、ウォン建てステーブルコインの発行を認める法律や規制する法律は施行されていません。議員提出のデジタル資産基本法案5件が国会で審議待ちとなっており、政府案は提出されておらず、委員会審査は2026年11月の見込みとされていました。

韓国の会社は輸出代金をUSDTやUSDCで受け取れますか。

現時点で明確な合法的経路はありません。仮想資産は外国為替取引法上の「支払手段」に当たらず、外国為替銀行を通さない決済には韓国銀行への事前申告が必要ですが、暗号資産についての申告が受理されることはほとんどありません。また、一般企業はステーブルコインを売却してウォンに換えるための取引所口座をまだ開設できません。

2026年12月3日に韓国で何が変わりますか。

改正外国為替取引法(法律第21714号)が施行されます。韓国と他国の間で仮想資産を移転する仮想資産事業者は、事前に財政経済部長官への登録が必要になります。施行令の改正案は、2026年10月7日から26日まで意見募集のため公表されました。

ウォン建てステーブルコインを発行できるのは誰になりますか。

それが最大の未決の論点です。当局は銀行が過半を出資する発行コンソーシアムを検討しており、韓国銀行は銀行主導の発行を支持しています。一方、フィンテック企業や暗号資産企業は、要件を満たす銀行以外の事業者も発行できるよう求めています。金融委員会は、銀行過半出資モデルは確定していないとしています。

韓国への送金にトラベルルールは適用されますか。

適用されます。韓国の仮想資産事業者は、100万ウォン以上の移転について送付人と受取人の情報を伝達しなければなりません。2026年8月に閣議で承認された改正により、この基準額は撤廃され、施行後はすべての移転が対象になります。施行は2027年初めの見込みです。

出典

  1. 外国為替取引法(외국환거래법)、法律第21714号(一部改正)、2026年6月2日公布、2026年12月3日施行。改正履歴。国家法令情報センター。 law.go.kr
  2. 金・張法律事務所(Kim & Chang)、改正外国為替取引法の要約。法律新聞(The Law Times)、2026年6月15日。 www.lawtimes.co.kr
  3. 外国為替取引法施行令の改正案、意見募集期間2026年10月7日〜26日。京畿ニュース1(Gyeonggi News1)、2026年10月7日。 www.ggnews1.co.kr
  4. チェ・ジンヒョク(法務法人バルン)、輸出代金を仮想資産で受け取ることに関するコラム。イートゥデイ(eToday)、2026年10月16日。 www.etoday.co.kr
  5. 金融委員会「仮想資産利用者保護法、7月19日から施行」(報道資料、韓国語)、2024年7月17日。 www.fsc.go.kr
  6. データ経済(Korea Data Economy)、デジタル資産基本法の状況と銀行の「51%ルール」、2026年10月15日。 www.dataeconomy.co.kr
  7. ファイナンシャルニュース(Financial News)、国政監査での金融委員長のデジタル資産基本法と法人口座に関する発言、2026年10月14日。 www.fnnews.com
  8. 金融委員会、仮想資産市場への法人参加ロードマップ(英文報道資料)、2025年2月13日。 fsc.go.kr
  9. ブロター(Bloter)、韓国フィンテック産業協会ステーブルコイン協議会の国会セミナーでの発言、2026年9月28日。 www.bloter.net
  10. アジア経済(Asia Economy)、特定金融情報法施行令のトラベルルール改正の閣議承認、2026年8月11日。 core.asiae.co.kr

この記事を引用

Stablecoin Trade Journal. (2026, 16 October). 韓国のステーブルコイン規制(2026年):国際貿易の決済をめぐる法制度の現状 (STJ-2026-0003, v1.0). https://stablecointradejournal.com/ja/regulation/korea-stablecoin-regulation-2026/

訂正・改訂履歴

v1.02026-10-16初版公開。

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